ちいさな冒険

今日は海岸線に沿って、ひたすら真っ直ぐ歩き続けた。
ぼくの前方には影が長く伸びていて、まるでそれを追いかけるように足を進めていた。
燦然と輝く夕日は、ぼくの背中を橙色に染め上げ、温かく見守るようだった。

夕日に照らされる海岸

ちいさな冒険の始まり

視界の右側には波がうねる水面が広がり、左側には道路と山々が連なっていた。
耳には、波がテトラポットに打ち付ける力強い音と、車やオートバイが風を切って走り去る音が交互に響いてきた。
ぼくはその時、自分の意思で体を動かしているという確かな実感を抱いていた。
一歩ずつ、自分の足で砂利や小石を押しのけながら進む感触が心地よかった。

テトラポットが視界の右側を覆い、灰色一色の景色になると、少し心細さを覚えた。
しかし、その分、視界が開けて海の黒々とした青や海岸線、その先にそびえる山々が現れるたび、胸が満たされるような気持ちになった。

小川のような水筋

そんな旅路の中、ふと左手に小川のような水筋を見つけた

左側には見知らぬ景色ばかりが広がり、ふと気づけばずいぶん遠くまで歩いてきたらしい。
そろそろ帰ろうと辿ってきた道を振り返ると、夕日が山の向こうへ沈みかけているのが見えた。
暗くなる前に元いた場所へ戻らなくてはと、向かい風の中、砂浜を駆け出した。

強い風に煽られて、髪はきっと鶏冠のようになっていただろう。
けれどそんなことは気にせず、走ったり歩いたりを繰り返しながら、糸を手繰るように辿ってきた道を逆向きに進んでいった。

始まりの場所が近づいたころ、とうとう夕陽は山影に隠れ、空にはやさしいマジックアワーの色が広がっていた。
それは、ぼくのちいさな冒険の終わりをそっと告げる夢のような空だった。

海の向こうに望むマジックアワーの空

始まりの場所が近づいた頃、少し休憩しながら見た情景

おまけ

マジックアワーの空を漂う金魚のような雲

マジックアワーの空を漂う金魚のような雲