紫雲

空漠たる灰色の野に微風は
無音をうち連れて沈み込む

その涯てに仰臥する深山(みやま)の
山巓に突刺さった廃車
宙吊られて千尋の空に
なおも響もしている
ふたつに割れた赤子の軋り音(ね)

そのとき
ふっと
吐き出した息が
紫雲と化して
たなびくのを
視た

わたしは
帰ろう