何処か

白壁の蠍の黑色に
たったひとつの宇宙が降り立ったとき
眩暈く世界は膨れ上がり
星屑はとりどりの光を振りまいて
さやいでいただろう。

暗がりに浮かぶ街の煌めき。
夜の水面に身を浸らせて
ただ帰ることを願っていた。
路地裏に一人立つと
湿った郷愁が鼻をつく。

母親と手を繋いで
ちいさなぼくは何処かに居る。
朧な空の下、
灰色の道があり幾らかの緑がある。
遮るものは何もなかった。