アルマゲドン

焼肴の薫香
天を揺るがし
その香に招かれ
犰狳(アルマジロ)一疋
塵界の門を敲く

天命を裏切り
甲羅を脱ぎ棄て
肉をあらわに
赤子のごとく
蹌踉めき歩く

――なんと!
犰狳(アルマジロ)にあるまじき所業!

かくて神々は泡を噴き
天蓋の上に十重二十重
しばし宇宙は静止した

忽然として
流れ出づるは
焼肴どもの
うたかたの夢
甲羅なき犰狳(アルマジロ)
己が軽さに拉がれた

最期、犰狳(アルマジロ)
あぶくのように囁いた

――よい人生だった、と